東京理科大学MOT Core Sessions2026秋 各講義シラバス

第1回

2026年10月1日(木)19:00-21:00

イノベーションを生むための競争戦略

岸本 太一

●開発者も知っておくべき「勝てる」事業化のための競争戦略入門

優れた製品・サービス・コンテンツの開発に成功しても、狙う顧客や差別化要因の選択といった競争戦略が悪ければ、事業化はできても、事業発展やイノベーションには繋がらない。戦略考案の営業や企画部への丸投げは、危険。開発関係者も、関与する必要がある。筋のよい戦略考案には技術の視点が不可欠であり、想定する顧客や差別化要因が変われば、開発プロジェクトの方向性も変わるからである。開発関係者は、戦略論に関しては無学・薄学の場合が多い。本セッションでは、戦略考案のイロハを提供し、競争戦略への関心を誘う。

  • 事業発展 = 製品開発 × 戦略開発
  • 事業戦略 = ビジネスモデル + 時間展開
  • ビジネスモデルとは何か。その構成要素を学ぶ
  • 戦略考案では、システム思考が不可欠
  • 経営資源と業界構造は、戦略の考慮要件
  • 製品・コンテンツにだけでなく戦略にも、想いと魂を込める

第2回

2026年10月8日(木)19:00-21:00

ものづくりと決算書
技術と経営をつなぐ共通言語『決算書』〜財務三表とROIC〜

植西 祐介

決算書を「読み解く力」が、ものづくりの意思決定を変える

本講座では、技術現場を担う理系管理職を対象に、決算書を「読み解く力」を鍛える。簿記の細かなルールには立ち入らず、損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書という財務三表の構造と相互のつながりを、実在の製造業企業の決算書を紐解きながら平易に解説する。その上で、事業に投じた資本がどれだけ効率的に利益を生んでいるかを測るROICと、資本コストWACCの考え方を学び、自社・自部門の活動を「お金の言葉」で捉え、経営判断に活かす視点を養う。

  • 財務三表(P/L・B/S・C/F)の構造と相互のつながり
  • 実在企業の決算書に見る、ビジネスモデル別の財務構造の違い
  • 利益とキャッシュはなぜズレるのか〜黒字倒産のメカニズム
  • 事業の「稼ぐ力」を測るROIC(投下資本利益率)の読み方
  • ROICとWACC(資本コスト)の比較で見る価値創造の条件

第3回

2026年10月14日(水)19:00-21:00

技術・生産マネジメント
なぜ優れた製品が世の中に普及しないのか

北林 孝顕

●技術と経営を統合し、革新を普及させる『戦略的オペレーション』

本講座では、技術経営、イノベーション・マネジメント、オペレーションズ・マネジメントといった分野で蓄積されてきた知見を統合した「技術・生産マネジメント」の全体像を概観する。あわせて、日本のものづくり企業が成長を続けるためには、事業戦略だけでなく、技術やオペレーションを戦略的にマネジメントすることが重要である点を学ぶ。その一例として「イノベーションの普及理論」を取り上げ、なぜ日本の優れた製品が必ずしも世界に普及しないのかについて考察する。

  • 日本のものづくり企業の将来を考え抜く
  • オペレーション戦略実行の要諦を学ぶ
  • 技術・オペレーションの4要素:キャパシティ、プロセス技術、サプライネットワーク、イノベーション
  • 理論と実践の往復

第4回

2026年6月3日(水)19:00-21:00

技術経営マーケティング
技術と顧客を繋ぎ価値を作るマーケティングの実践知

日戸 浩之

●技術と顧客を繋ぎ価値を創る、MOTマーケティングの実践知

マーケティングはいずれの事業においても、顧客との繋がり・接点を構築するために必要となる機能である。本講座では、マーケティングの基礎理論を改めて学ぶとともに、顧客との関係性構築、チャネルマネジメント、B2Bマーケティング、デジタル技術の活用などのテーマについて理解を深め、技術経営におけるマーケティングの役割を学ぶ。それにより、日本企業に求められている「モノづくり」から「コトづくり」への転換と付加価値の創出について理解し、イノベーションを推進する人材に求められる知見を身に付ける。

  • マーケティングの基礎理論の紹介
  • 顧客との関係性構築、顧客経験価値(Customer Experience)の提供
  • イノベーション創造におけるテクノロジー・プッシュとディマンド・プル
  • B2CマーケティングとB2Bマーケティングの比較
  • デジタル技術の活用、One to Oneマーケティングの推進

第5回

2026年10月28日(水)19:00-21:00

アントレープレナーシップ
事業を創造する力を知る

藏知 弘史

●イノベーションを導く思考と行動

起業家は「事業を起こす人」であり、潜在的なビジネスを新しく創り出すイノベーションの担い手である。一方、企業家は事業を成長させる、イノベーションの推進役といえるだろう。そして、その双方が持つアントレプレナーシップが、その成否を左右する。アントレプレナーシップは特殊な資質だと誤解されがちだが、実際には事業を創造しリスクに挑戦する姿勢であり、一種の行動能力である。イノベーションの実践に求められる思考、行動の原理原則と、ビジネスの創造に必要な理と心を知る。 

  • なぜ経営理論が実務に貢献するのか。
  • 新規事業の成功率は高めるフレームワーク。
  • スタートアップの常識、非常識
  • 理を超える決断を支えるアントレプレナーシップ
  • 解くべく問いを間違えない。だからこそ大切な理の蓄積

第6回

2026年11月4日(水)19:00-21:00

デザイン・コンセプト創造
顧客や社会が共感する事業戦略

中山 裕香子

●3つの思考で「選ばれる意味」を創造する

本講座は、論理思考、デザイン思考、アート思考を横断しながら、商品、サービス、ビジネスなどのコンセプト創造について学ぶことを目的とする。機能や価格だけでは差別化が難しい現代において、商品や事業が選ばれる理由は「何をするか」だけでなく、「なぜそれをするのか」という意味や姿勢にある。なぜ従来の課題解決だけでは不十分なのかを整理したうえで、「優れたコンセプトとは何か」「どのように生み出され、事業や価値へとつながるのか」を考察し、イノベーションの実現に役立つ視点を得ることを目指す。

  • VUCA時代におけるコンセプト創造の重要性と課題解決思考の限界
  • 論理思考・デザイン思考・アート思考の役割と相互関係
  • 身近な事例から学ぶ、発想の切り替え方
  • コンセプト創造におけるデータ活用

第7回

2026年11月11日(水)19:00-21:00

ファイナンスと企業統治
技術者も知っておきたい企業価値の基礎

青木 英彦

●資本市場の論理とファイナンシャル・リテラシーの獲得

ファイナンスと企業統治は、すべての経営者が修得するべきOSである。本講座では、イノベーションと企業価値の本質を、ファイナンスと企業統治の観点から読み解くことで、このOSのアップデートを促す。講師は30年以上にわたり資本市場の最前線で企業と対峙してきた元トップ証券アナリスト。資本市場が企業をどう評価しているか、その論理と哲学を解き明かし、経営者が資本市場と対峙・共生するための「共通言語」を伝授する。

  • 技術経営(MOT)におけるファイナンスと企業統治の実践的融合
  • エンジニアが知るべきイノベーションと企業価値の本質
  • 経営者が修得すべき「資本市場の論理と哲学」を解読
  • 攻めのガバナンスと社外取締役の視点
  • PL脳」から「ファイナンス脳」への経営OSアップデート

第8回

2026年11月18日(水)19:00-21:00

知的財産マネジメント
事業戦略と競争力強化のために

鈴木 公明

●知財を武器にする事業戦略〜特許活用とオープン・クローズ戦略

特許は、出願・権利化が目的ではなく、事業アーキテクチャと結び付けて初めて武器になる。本回前半では、特許制度の要点(権利範囲の読み方、公開と秘匿のトレードオフ、侵害・無効・設計回避、ライセンス交渉の勘所)を俯瞰。後半は、日本企業の具体的な事業をケースに、国際標準化機構(ISO)等の共通規格に合わせて「開く」領域と、独自技術を特許群と運用で「閉じる」領域をどう切り分けるかを討議し、標準化局面での競争優位の意思決定を実践的に掴む。

  • 前半:特許制度の要点(権利範囲/公開の代償/無効・侵害リスク)を最短で整理
  • 「クレームから事業を読む」:機能・効果・限定要件の読み解きと戦略への翻訳
  • FTO(侵害回避)と設計回避:開発現場で起きる典型パターンと判断軸
  • 標準など互換性が要請される領域と、差別化できる領域の「境界設計(オープン/クローズ戦略)」
  • 特許群(コア+周辺)で回り込みを抑える:出願範囲、分割・改良の考え方
  • 後半:ケース討議—互換性を担保しつつ独自技術で優位を維持するロジック
  • アウトプット:自社に持ち帰れる「知財×事業戦略」アクションプラン(1枚)

第9回

2026年11月25日(水)19:00-21:00

研究開発マネジメント
R&Dによるコア技術とコンピタンスの獲得

内海 京久

●R&Dマネジメントの理論と実践のギャップの本質に迫る

本講座では、R&D戦略立案・実行の中心を担う理系管理職を対象に、研究開発マネジメントに関係する経営理論と実践のギャップを学び、その克服を企図するための眼と脳を鍛える。具体的には、高い競争優位性に資する経営資源であるコア技術とコア・コンピタンスの獲得・強化の理論的理解を深めた上で、実務者が陥りやすい「既存事業や組織文化の硬直性に起因する罠やジレンマ」とそれらへの対応についての理解を、具体的な事例とグループセッションによって深める。

  • 経営資源:技術の位置づけ
  • コア技術戦略:意義と難しさ
  • コア・コンピタンス:コア技術との違い
  • コア・リジディティとダイナミック・ケイパビリティ:ブレーキとアクセル

第10回

2026年12月2日(水)19:00-21:00

イノベーションマネジメント
技術者・管理者の視点から経営者の視点へ

岸本 太一

●革新マネージャーに求められる「対外」の視点

イノベーションの担い手は、ベンチャーの経営者に留まらない。既存企業のミドルもまた、主要な担い手候補である。日本のミドルはマネージャーの仕事を、部下の動機づけや部内計画の管理といった、対内の仕事のみに限定し、狭く捉えがちである。しかし、上・横・外にある対外の組織やプレイヤーに対しても、経営の仕事は存在し、イノベーション成就の鍵も、実はここに潜んでいる。マネージャーの仕事には、何が含まれるのか。本セッションでは、この素朴な問いに関する視野拡張の機会を提供し、中間管理職からイノベーターへの転身を誘う。

  • ミドルの仕事は、部内管理のみにあらず
  • 部署経営の対外は、社内にもあり
  • 革新には、対外のマネジメントが不可欠
  • イノベーター = 所謂企業家 + 社内企業家
  • 中間管理職から真のマネージャーへ
  • 技術者・オペレーターからイノベーターへ

第11回(海外事業創出コースのみ)

2026年12月6日(日)14:00~16:00 対面(リアル) & Zoom

グローバル技術経営
修了生のケースで学ぶ国際技術経営

後郷 和彦/岸本 太一

国内勤務者にも知ってもらいたい国際技術経営の内実

昨今グローバル化は経営における重要なトピックの一つであるが、その影響は研究開発や技術経営にまで拡張している。しかし、販売や生産等の活動とは異なり、研究開発や技術経営の国際化・現地化は、その活動や課題の内実がセミナー等で詳細に語られることが、そもそも少ない。理科大MOT2年コース)の本科生には、本科で深く経営を学んだ後、研究開発の海外拠点のトップに着任し、国際技術経営に深く携われた修了生も存在する。本セッションでは、その修了生の方をゲスト講師に招き、現場の生々しい実態と課題を紹介して頂き、議論する。

  • 理科大MOT(本科)で経営を学んだ国際技術経営の専門家を講師に招聘

  • 研究開発の海外拠点における活動の内実を紹介

  • 海外R&D拠点におけるマネジメント面の課題を解説

  • 国内拠点も含めたグローバル技術経営の課題とその解消の方向性

※このセッションのみ、リアル&オンライン開催となります(会場はPORTA神楽坂内、東京理科大神楽坂キャンパス)。