東京理科大学MOT Core Sessions 各講義シラバス

セッション1

2026年5月13日(水)19:00-21:00

AIを活用した新たなデジタルトランスフォーメーション

帆足 啓一郎/岸本 太一

●AIの有効な活用先と組織に潜む実装の障壁

AIは、単なるブームではなく、企業に新たなDXをもたらしうる革新的技術である。しかしながら、AIを活用すべきビジネス課題を、正確かつ網羅的に理解している実務家は、今の所少ない。加えて、AI活用の課題は、技術ではなく組織の面にも、実は潜んでいる。理科大MOT(2年コース)の本科生には、実務で長年AIの研究開発と普及に携わる中、本科で深く経営も学んだ修了生が存在する。本セッションでは、その一人の修了生の方をゲスト講師に招き、AIの有効な活用先と実装を阻む組織的障壁を、議論する。

  • 理科大MOT(本科)で経営を学んだAIの専門家を講師に招聘
  • AIとは何か。そのビジネス面での答えを解説
  • AIを活用すべきビジネス課題とは
  • AI実装を阻む組織的障壁とその解消の方向性

※内容は変更される可能性があります

セッション2

2026年5月20日(水)19:00-21:00

イノベーションを生むための競争戦略

岸本 太一

●開発者も知っておくべき「勝てる」事業化のための競争戦略入門

優れた製品・サービス・コンテンツの開発に成功しても、狙う顧客や差別化要因の選択といった競争戦略が悪ければ、事業化はできても、事業発展やイノベーションには繋がらない。戦略考案の営業や企画部への丸投げは、危険。開発関係者も、関与する必要がある。筋のよい戦略考案には技術の視点が不可欠であり、想定する顧客や差別化要因が変われば、開発プロジェクトの方向性も変わるからである。開発関係者は、戦略論に関しては無学・薄学の場合が多い。本セッションでは、戦略考案のイロハを提供し、競争戦略への関心を誘う。

  • 事業発展 = 製品開発 × 戦略開発
  • 事業戦略 = ビジネスモデル + 時間展開
  • ビジネスモデルとは何か。その構成要素を学ぶ
  • 戦略考案では、システム思考が不可欠
  • 経営資源と業界構造は、戦略の考慮要件
  • 製品・コンテンツにだけでなく戦略にも、想いと魂を込める

セッション3

2026年5月27日(水)19:00-21:00

デザイン・コンセプト創造
顧客や社会が共感する事業戦略

中山 裕香子

●3つの思考で「選ばれる意味」を創造する

本講座は、論理思考、デザイン思考、アート思考を横断しながら、商品、サービス、ビジネスなどのコンセプト創造について学ぶことを目的とする。機能や価格だけでは差別化が難しい現代において、商品や事業が選ばれる理由は「何をするか」だけでなく、「なぜそれをするのか」という意味や姿勢にある。なぜ従来の課題解決だけでは不十分なのかを整理したうえで、「優れたコンセプトとは何か」「どのように生み出され、事業や価値へとつながるのか」を考察し、イノベーションの実現に役立つ視点を得ることを目指す。

  • VUCA時代におけるコンセプト創造の重要性と課題解決思考の限界
  • 論理思考・デザイン思考・アート思考の役割と相互関係
  • 身近な事例から学ぶ、発想の切り替え方
  • コンセプト創造におけるデータ活用

セッション4

2026年6月3日(水)19:00-21:00

研究開発マネジメント
R&Dによるコア技術とコンピタンスの獲得

内海 京久

●理論と実践の乖離を克服するR&Dマネジメントの本質

本講座では、R&D戦略立案・実行の中心を担う理系管理職を対象に、研究開発マネジメントに関係する経営理論と実践のギャップを学び、その克服を企図するための眼と脳を鍛える。具体的には、新事業創造に資するコア技術とコンピタンスの獲得・強化において実務者が陥りやすい、「既存事業や組織文化の硬直性に起因する罠やジレンマ」「業界の先行者または後発者が取るべき戦略への誤解」「今まさに起こりつつある技術パラダイム転換の波乗りでの勘違い」と、それらへの対応策について理解を深める。

  • コア技術の「再定義」による新事業創造
  • コア・コンピタンス強化の罠とダイナミック・ケイパビリティ
  • 「深化」と「探索」のジレンマ越え
  • 「先行」と「後発」の競争戦略
  • 技術パラダイム転換における「波乗り」

セッション5

2026年6月10日(水)19:00-21:00

技術・生産マネジメント
新商品開発を成功に導くプロセス

北林 孝顕

●技術と経営を統合し、革新を普及させる『戦略的オペレーション』

本講座では、技術経営、イノベーション・マネジメント、オペレーションズ・マネジメントといった分野で蓄積されてきた知見を統合した「技術・生産マネジメント」の全体像を概観する。あわせて、日本のものづくり企業が成長を続けるためには、事業戦略だけでなく、技術やオペレーションを戦略的にマネジメントすることが重要である点を学ぶ。その一例として「イノベーションの普及理論」を取り上げ、なぜ日本の優れた製品が必ずしも世界に普及しないのかについて考察する。

  • 日本のものづくり企業の将来を考え抜く
  • オペレーション戦略実行の要諦を学ぶ
  • 技術・オペレーションの4要素:キャパシティ、プロセス技術、サプライネットワーク、イノベーション
  • 理論と実践の往復

セッション6

2026年6月17日(水)19:00-21:00

技術経営マーケティング
実践CxO・起業家ケーススタディ

日戸 浩之

●技術と顧客を繋ぎ価値を創る、MOTマーケティングの実践知

マーケティングはいずれの事業においても、顧客との繋がり・接点を構築するために必要となる機能である。本講座は、技術を活用して顧客に受け入られる商品を開発する際の企業の顧客との関わり方や、技術を活用してイノベーションを興し新たな顧客を創出するアプローチなど、技術経営におけるマーケティングの役割を学ぶ。講座当日は、東京理科大学MOTの授業科目「実践CxO・起業家ケーススタディ」の形式に則り、企業でマーケティングを担う実務家による講義および担当教員とのディスカッション形式を通じて、技術経営におけるマーケティングへの理解を深める。

  • 顧客との関係性構築、顧客経験価値(Customer Experience)の提供
  • 「モノづくり」から「コトづくり」への転換と価値の創出
  • イノベーション創造におけるテクノロジー・プッシュとディマンド・プル
  • B2CマーケティングとB2Bマーケティングの比較
  • マーケティング組織の設計・運営
  • デジタル技術の活用、One to Oneマーケティングの推進

セッション7

2026年6月24日(水)19:00-21:00

アントレープレナーシップ
事業を創造する力を知る

藏知 弘史

●イノベーションを導く思考と行動

起業家は「事業を起こす人」であり、潜在的なビジネスを新しく創り出すイノベーションの担い手である。一方、企業家は事業を成長させる、イノベーションの推進役といえるだろう。そして、その双方が持つアントレプレナーシップが、その成否を左右する。アントレプレナーシップは特殊な資質だと誤解されがちだが、実際には事業を創造しリスクに挑戦する姿勢であり、一種の行動能力である。イノベーションの実践に求められる思考、行動の原理原則と、ビジネスの創造に必要な理と心を知る。 

  • 優れた企業家にとっての当たり前(行動原理)とプリンシプル(原理原則)を知る
  • 企業家は、なぜそんな決断ができるのか?直感で発想し、論理で検証し、哲学で跳躍
  • 解くべく問いを間違えない。だからこそ大切な理の蓄積
  • 得るものと失うものを天秤にかける。しかし、ロジックだけでは、正解を選べない

セッション8

2026年7月1日(水)19:00-21:00

ファイナンスと企業統治
技術者も知っておきたい企業価値の基礎

青木 英彦

●資本市場の論理とファイナンシャル・リテラシーの獲得

ファイナンスと企業統治は、すべての経営者が修得するべきOSである。本講座では、イノベーションと企業価値の本質を、ファイナンスと企業統治の観点から読み解くことで、このOSのアップデートを促す。講師は30年以上にわたり資本市場の最前線で企業と対峙してきた元トップ証券アナリスト。資本市場が企業をどう評価しているか、その論理と哲学を解き明かし、経営者が資本市場と対峙・共生するための「共通言語」を伝授する。技術を企業価値へ直結させる経営力を養う、理系管理職のための集中講義となる。

  • 「PL脳」から「ファイナンス脳」へのOSアップデート
  • エンジニアが知るべきイノベーションと企業価値の本質
  • 経営者が修得すべき「資本市場の論理と哲学」を解読
  • 攻めのガバナンスと社外取締役の視点
  • CFO(最高財務責任者)の意思決定プロセスを追体験
  • 技術経営(MOT)におけるファイナンスと企業統治の実践的融合

セッション9

2026年7月8日(水)19:00-21:00

知的財産マネジメント
事業戦略と競争力強化のために

鈴木 公明

●知財を武器にする事業戦略〜特許活用とオープン・クローズ戦略

特許は、出願・権利化が目的ではなく、事業アーキテクチャと結び付けて初めて武器になる。本回前半では、特許制度の要点(権利範囲の読み方、公開と秘匿のトレードオフ、侵害・無効・設計回避、ライセンス交渉の勘所)を俯瞰。後半は、日本企業の具体的な事業をケースに、国際標準化機構(ISO)等の共通規格に合わせて「開く」領域と、独自技術を特許群と運用で「閉じる」領域をどう切り分けるかを討議し、標準化局面での競争優位の意思決定を実践的に掴む。

  • 前半:特許制度の要点(権利範囲/公開の代償/無効・侵害リスク)を最短で整理
  • 「クレームから事業を読む」:機能・効果・限定要件の読み解きと戦略への翻訳
  • FTO(侵害回避)と設計回避:開発現場で起きる典型パターンと判断軸
  • 標準など互換性が要請される領域と、差別化できる領域の「境界設計(オープン/クローズ戦略)」
  • 特許群(コア+周辺)で回り込みを抑える:出願範囲、分割・改良の考え方
  • 後半:ケース討議—互換性を担保しつつ独自技術で優位を維持するロジック
  • アウトプット:自社に持ち帰れる「知財×事業戦略」アクションプラン(1枚)

セッション10

2026年7月15日(水)19:00-21:00

イノベーションマネジメント
技術者・管理者の視点から経営者の視点へ

岸本 太一

●革新マネージャーに求められる「対外」の視点

イノベーションの担い手は、ベンチャーの経営者に留まらない。既存企業のミドルもまた、主要な担い手候補である。日本のミドルはマネージャーの仕事を、部下の動機づけや部内計画の管理といった、対内の仕事のみに限定し、狭く捉えがちである。しかし、上・横・外にある対外の組織やプレイヤーに対しても、経営の仕事は存在し、イノベーション成就の鍵も、実はここに潜んでいる。マネージャーの仕事には、何が含まれるのか。本セッションでは、この素朴な問いに関する視野拡張の機会を提供し、中間管理職からイノベーターへの転身を誘う。

  • ミドルの仕事は、部内管理のみにあらず
  • 部署経営の対外は、社内にもあり
  • 革新には、対外のマネジメントが不可欠
  • イノベーター = 所謂企業家 + 社内企業家
  • 中間管理職から真のマネージャーへ
  • 技術者・オペレーターからイノベーターへ

セッション11(経営者コースのみ)

2026年7月20(月・祝)午後(時間未定)

ファミリービジネス研究
後継経営者の育成と事業承継

岡田 将稔

●「事業継承」を「第二創業」へ

日本企業の9割以上を占めるファミリービジネスは、コーポレートガバナンスに加え、創業家一族の価値観や関係性を前提とした「ファミリーガバナンス」が経営の成否を左右する。本セッションでは、家族・所有・経営の「スリーサークルモデル」を軸に、後継経営者の育成や事業承継を成功に導く要諦を学ぶ。講師は全国のファミリービジネスを支援してきた実務家と大学教員の経験を併せ持っている。全国のファミリービジネス創業家と幅広いネットワークを持ち、実務家とアカデミアの両方の視点を合わせた講義を提供する。

  • コーポレートガバナンスとファミリーガバナンスの違いと両立
  • ファミリービジネスに欠かせないスリーサークルモデル「家族・所有・経営」
  • 後継経営者育成における典型的なつまずきと打ち手を理解する
  • 合理性では割り切れない感情・関係性を含む承継課題の整理
  • ガバナンス不全が経営リスクに直結するメカニズムの理解
  • 長寿企業(100年企業)の特徴
  • 上場/非上場ファミリー企業の実践ケース