広島商工会議所青年部(広島YEG)
会長 橘義昭様(株式会社橘運送店 代表取締役副社長)
多様性推進グループ バラエティ委員会委員長 大内治美様(大内社会保険労務士事務所代表)
聞き手 プレジデント ウーマン編集長・木下明子
広島商工会議所青年部では、今年度「バラエティ委員会」を立ち上げ、ダイバーシティへの理解を深める活動をスタートしました。毎月会員が集まる例会を行う中で、2024年6月は年度初めての講師を招聘しての例会となり、そこにプレジデントウーマン編集長・木下明子が登壇。女性活躍や異文化対応など、ダイバーシティ全体に関する講演を行いました。
課題
多様性全体についての理解が進んでいなかった
目的
女性、外国人、障がい者など多様性全体についての理解を進める
――そもそも、広島商工会議所青年部で、今回「バラエティ委員会」というのが立ち上がったきっかけはなんだったのでしょうか?
橘 今年度の青年部のスローガンは「ワンピース~多様性を活かし新たなる創造を~」です。ここに込めた思いというのは、会員一人一人をジグソーパズルのピースに例えました。すべてのピースがつながらないとパズルは完成しません。また、同じ形のピースは一つもありません。今、280名のメンバーがいるので、一人一人それぞれの個性を生かして、多様なメンバーで、新たなアイデアを生み出すことを今年度の活動目標として掲げています。
そこから多様性というところにつながって委員会を立ち上げました。そこで今回のバラエティ委員会の委員長に大内さんを指名して、多様性について考える最初の例会を企画することにしました。2023年の11月くらいに構想がまとまってきて、会自体は4月スタートでしたので、それまでに決めるということで準備をしてきた感じです。
――その、記念すべき第一回にお声がけいただいたきっかけは、私の書籍だったと聞いていますが、選んでいただいた決め手をお聞かせください。
大内 はい、木下さんの書かれた『図解!ダイバーシティの教科書』を地元の書店で見つけて読ませていただきました。何冊か同じようなテーマの本を読んだ中で、内容が一番共感し、バラエティ委員会で行う例会の内容に合っていると感じ、ご連絡させていただきました。
多様性といってもいくつかのテーマがあるとおもいますが、私が本業の社労士としてお話を伺う事業者の方の悩みとしては、若い方や女性についてなかなか価値観が合わなかったり、指導法や接し方に困っているというお話をよく聞いていました。
木下さんの本の中で、指導する側がアンコンシャスバイアスに気づくことの大切さ、あとはとにかく傾聴すること、部下の話を聞くことが大切と書かれていて、そこが心に響きました。私自身もご著書を読むことでアンコンシャスバイアスがあると気づき、そこが薄れたなと感じたので、強く推薦させていただきました。
ダメもとのつもりでフェイスブックメッセンジャーからご連絡したのですが、本当に返信の反応が早くて、信用できる方だなと感じました。
橘 講師を含め事業内容を決めるために、合計4つの会議で承認を得る必要があったのですが、ほかの候補者もいた中、大内が非常に強く木下さんを推してきて、それならば任せるので頑張ってくださいということで、木下さんに決まりました。
――本を書いて広島に思いが届いて本当によかったです。今回は、女性活躍以外にも、ご要望をいただいて障がい者や外国人のケースも入れつつ、異文化適応力などダイバーシティ全体についてお話しさせていただきましたが、会員の方の反応はいかがでしたか?
大内 広島商工会議所青年部、令和6年度の初めての例会でしたので、ダイバーシティ全体のお話をしていただきたかったのです。最初ご提案いただいた内容は、女性に寄っていたので、あえて外国人や障がい者のケース、そして異文化対応力のお話も入れていただけるようお願いいたしました。おかげさまで時代にあった内容だったと思いますし、アンケートの評判もよく、「時代のニーズに即していた。女性活躍だけでなく多様性全体の話を聞けてよかった」といった感想が来ています。
最後に、参加者全員に「ダイバーシティ目標」ということで、自社や当団体で行えるダイバーシティ目標を紙に書いてもらったのですが、教えていただいた、相手の話をきちんと聞く「傾聴」のテクニックを磨きたいといった声が多かったです。
橘 やはり私たちが考える多様性は女性活躍に限定したものではありません。多種多様な方が活躍してほしいという思いがあって、今年は女性役員を4名入れたのですが、インド人のメンバーに、ダイバーシティ未来検討委員会の委員長になってもらっていました。そんなこともあって、女性活躍に偏らない話をお願いした次第です。
異文化対応力のお話は、すごく面白かったのですが、個人的は、木下さんは実際カナダや中国で海外生活のご経験があったので、もう少し時間があれば実際の異文化ギャップに遭遇してどう対応されたかなどの具体的なエピソードも聞きたかったですね。
――次の機会をいただけたら頑張ります。異文化対応のお話は初めて講演でさせていただいたのですが、私も改めて勉強になりました。あとは、広島の都道府県別ジェンダーギャップ指数に驚愕したという声がありましたね。
橘 その通りです。教育分野のジェンダーギャップ指数は全国1位なのに、経済分野は40位。この数字を聞いて改めてショックを受けたという声はたくさんあがっています。そして他県への人口流出率がここ3年で全国1位。広島は教育費にかける費用は全国トップという話を聞いたことがあります。けれど、社会に出ると女性は男性と対等に働くことが難しいのが現状だと感じています。木下さんの言う通り、ダイバーシティが進まない場所は、若い世代に居心地がわるくなっているということなのでしょう。
大内 広島は女性が男性と同じように企業で働き、キャリアを積んでいくことが難しいという印象があります。なかなか会社の体制も周りの理解も整っていなかったりしますし、私自身も、もし結婚していたり子供がいたりしたら、今回のような活動はおそらくできないと感じますね。
――結婚しているだけでキャリアを積むことに障害が出るんですね。広島はそれなりに大都市だと思うのですが、首都圏などと比較すると、まだまだ大変ですね。今回の勉強会のあと、何か参加者の方の行動変容などはありましたか?
橘 その検証はこれからだと思っています。今の我々は、先輩方が築いてこられた未来を歩んでいます。そしてこれからは、我々の今の活動が未来へとつながります。これをきっかけに少しずつ変容が起こり、数年後、アンコンシャスバイアスが解消された組織へと成長することを信じています。
大内 私も同じ思いで、すぐに大きく変化することは難しいと思っています。ただ、会員が集まって話す際に、教えていただいた傾聴力とかアンコンシャスバイアスといったワードが流行語のようになっていて、日常的に出てくるようになりました。
今すでに個人として留意することができているので、これから少しずつ行動にも変化が出てくるのでは、と考えています。
まずは素晴らしいきっかけを作っていただいたことが一番よかったと思います。
効果
ダイバーシティへの意識が高まり、傾聴力やアンコンシャスバイアスといったキーワードが日常的に話題に出るようになった
※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。
CONTACT
ご不明な点はお気軽に
お問い合わせください
お役立ち資料は
こちらから