学校法人郁文館夢学園 『図解! ダイバーシティの教科書』を読んで、いまの子どもたちに必要な観点だと感じた

  • 学校法人郁文館夢学園

    教頭:渡邉烈士様(右)
    社会科教諭:古田浩人様(左)

  •  聞き手:木下明子(プレジデント ウーマン編集長)

東京都内の私立中高一貫校・郁文館夢学園では、各業界の一線で活躍する「達人」を招聘し、「夢達人ライヴ」という講演会を定期的に開催しています。2024年2月、プレジデント ウーマン編集長・木下明子が「ダイバーシティの達人」として登壇しました。

  •  『図解! ダイバーシティの教科書』を読んで、いまの子どもたちに必要な観点だと感じた

  •  生徒の99%がダイバーシティについての理解が深まったと回答

生徒だけでなく、先生たちにもアンコンシャス・バイアスへの学びが

学校法人郁文館夢学園様

――今回は、ワタミ会長でもある渡邉美樹理事長が『図解!ダイバーシティの教科書』を読んでくださり、夢達人ライヴにご推薦いただいたと伺っています。

渡邉

理事長がきっかけだったことは確かですが、私たちも学校側として、まずは『図解!ダイバーシティの教科書』をしっかり読ませていただきました。今の子どもたちにとって必要な価値感や観点が学べる内容だなと感じたので、ぜひ夢達人ライヴへ出演いただきたいと思い、御社へ伺いました。実際、編集長にお会いして、本に書かれていたとおりのお考えを直接伺ったことで、安心して正式に依頼状を出させていただきました。

――本の印象を裏切らなくてよかったです。実際、講演を聞いていただいて、みなさんの印象はいかがでしたか?

古田

生徒たちからは非常に勉強になったというたくさんの前向きなコメントをもらっています。中学生、特に低学年についてはダイバーシティの意味自体がよくわかってなかった生徒が多く、今回の講演で深く理解できたという声が多かったです。

高校生からも前向きなコメントがたくさん寄せられました。例えば講義内で触れていただいた同性婚について、「なぜ日本で認められていないのか腑に落ちなかったが、今回の話を聞いて納得できた」という声がありました。また、「少子高齢化により、女性の力をきちんと生かさないと日本社会や経済が没落してしまうため早急に問題を解決していかないといけない」という感想も上がっています。 

 男子生徒の多くは「自分自身が男なのでこういった問題について意識が向いていなかったが、お話を聞いて意識するようになった」というコメントが多かったです。正直、私自身も男性なので、同じように改めてはっとさせられましたね。

 渡邉

私個人としてもとても勉強になりました。学校の方でも、講演についてアンケートを取ったんです。今回の夢達人の話を聞いて、「ダイバーシティが、いま世の中に必要で重要な考え方だということを理解できましたか?」という質問に対して、「十分理解できた」「大体理解できた」という解答がなんと99%を超えていました。

――すごいですね。ダイバーシティについて生徒のみなさんに本当によく理解していただけたようでよかったです。特に印象的だった部分はありますか?

古田

講演の中でアンコンシャス・バイアス、いわゆる「無意識の偏見」についてお話いただいたと思うのですが、実は学校という組織はどうも古い体質が残っていて、アンコンシャス・バイアスを拭いきれていないところがあると思うんですね。そこは生徒だけでなく教職員にとってもすごく学びに繋がったと思います。

渡邉

男女についてのアンコンシャス・バイアスだけでなく、LGBTQの問題についてもいま学校内で議論しています。例えば男女別の体育の授業やトイレをどうするのか。そういった垣根も越え、学校側、教職員も、もっと知識や理解を深めていかなければならないと思います。

夢に向かう道のりは、努力するほどぐにゃぐにゃと曲がっていく

――今回は同性婚のお話も少しさせていただきましたが、子どもたちの世代はこういった問題も大人の世代よりは自然に受けとめているようにも感じますね。

渡邉

そうですね。いまはLGBTQやジェンダー問題をテーマにした漫画やドラマがたくさん世の中に存在していることもあって、子どもたちはジェンダーが男性と女性の2種類だけではないことなども、知識として持っていると思います。でもやはり、生徒によっては抵抗感があるという子もいる。学校も含めていまの日本は、まだまだマイノリティの生徒は生きにくい環境ではあると思います。難しい部分もたくさんありますが、先程のトイレや制服といった問題についても、学校としてはその都度、きちんと合理的な判断をしていかないといけません。

――「夢達人」の一人として、夢やキャリアについても最後にお話しさせていただきました。

渡邉

「夢に向かう道のりはまっすぐな右肩あがりの線のようなイメージではなく、現実はあちらこちらにぶつかったり、思わぬ失敗や成功を繰り返したり後戻りしたりして、曲がりながら上っていく」というお話を図解しながら説明していただきましたが、これは努力があってこその結果というのが正しい解釈だと思います。努力をしない場合は下の方でただまっすぐな線が描かれるだけのイメージだと思うので。きれいな線を一生懸命ぐにゃぐにゃと曲げていくのが努力する人生だと、後で生徒たちに伝えておきました。

私たちは、「夢学園」という名前の通り、子どもたちに夢をもってもらうことを大切にしていますが、ダイバーシティや女性活躍の話だけではなく、夢に向かう道のりのお話も、ご自身のキャリアやご経験に基づいてしていただいて、生徒たちは本当にためになったんじゃないかと思います。

―― 先生に、深いところで理解していただけてうれしいです。男女両方が忙しい場合は家事や育児は誰がやればいいのかという質問が出たとき「ベビーシッターや家事外注をいれる選択肢もある」とお答えしましたが、この点もご自身の体験から補足いただいたようですね。

渡邉

はい、わたしの妻は小学校の教員なのですが、出産してからも仕事は続けたいということで、二人で話し合ってシッターさんをお願いすることにしました。東南アジアなどの諸外国では、お手伝いさんを雇うのは本当に普通のことですよね。ただ生徒たちはまだまだ「お手伝いさん=お金持ちが雇うもの」というイメージがあるようです。こんな日本では当たり前のイメージが、世界からするとむしろ異質なんだよ、ということが理解できるとすごくよいと思います。私たちの学校の究極の目的は、真の国際人をつくるということなのですが、こういったテーマも「お金持ちだから外注」ではなく、お金と自己実現を上手に換えていく文化が世界では普通のことなんだとか、そういうところに気づきを得てほしいと考えますね。今回、そこまで気づきがあった子はいなかったかもしれませんが、何事もグローバルスタンダードの中で考えられるようになってほしい。

 日本の女性活躍についても同じで、まずはジェンダーギャップが146カ国中125位で、先進国の中では最下位なんだ、世界はもっと早いスピードで変化しているんだ、という理解からスタートしていかないといけないと思っています。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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