NTT-ATアイピーエス株式会社
総務部長 兼 人事部長 大津 昭宏様
人事部 担当課長 兼 キャリア開発支援PT(プロジェクトチーム)リーダー 佐藤 美保子様
聞き手 プレデント ウーマン総研所長兼編集長 木下 明子
NTT-ATアイピーエスは、NTTアドバンステクノロジの100%子会社で、社員数は約220名。
グループ会社の人事・給与・経理といった間接業務(バックヤード業務)のアウトソーシングサービスやアウトソーシングサービス、プロフェッショナル人材サービス、コンサルティングサービスなどを主な事業としている。
元々管理職の多くは親会社からの出向・転籍者が担っていたが、近年、自社採用の生え抜き(プロパー)の管理職登用が急増。
しかし、当時はまだ体系的なマネジャー教育の仕組みが整っていなかった。
この課題を解決すべく同社が導入したのが、プレジデント総合研究所の「新任管理職特訓キャンプ」だ。
人事部長の大津昭宏氏と、キャリア開発支援を担当している佐藤美保子氏に、導入の経緯と受講者の変化について聞いた。
―― 本日はよろしくお願いします。まずは御社の事業内容とお二人の業務内容を教えてください。
大津 当社はNTTアドバンステクノロジの100%子会社で、社員数は220名ほどです。主な業務は、人事・給与・経理・契約といった共通間接業務のアウトソーシングサービスやプロフェッショナル人材サービス、コンサルティングサービスなどを行っています。大阪にも事業所があり、共通業務のアウトーソーシングサービスに加えて業務システムの設計・開発やネットワークの運営・管理、セキュリティ業務などを担っています。
佐藤 私は人事関連業務・社内の育成施策の企画と並行してキャリア開発支援PT(プロジェクトチーム)のリーダーを務めています。このチームには12名のキャリアコンサルタントが所属しており、社員のキャリア支援などを行っています。
――管理職向けの教育をはじめられた背景を教えてください。
大津 これまで当社の管理職は、グループ会社からの出向・転籍者が就くことが大半でした。しかし4年ほど前から、プロパーの管理職が徐々に増えてきている現状があります。当初、プロパー社員向けの体系立ったマネジャー研修は自社にはありませんでした。 社長は「今後、会社の軸となっていくのはプロパーの管理職だ」という強い思いを持っており、改めて育成制度を整えようと取り組みはじめました。きちんとした教育を行いたい。そこがスタートです。
――数ある研修会社の中で、弊社のプログラムを選んでいただいた決め手は何でしょうか。
佐藤 管理職として押さえておいてほしい内容が、コンパクトに網羅されていた点です。私自身、管理職になったとき、他社の研修を受けたことがありますが、一部の内容を深掘りしすぎていたり、テキストの分量が多すぎて、「結局どこを押さえればいいのか」がぼやけてしまう感覚がありました。
その点、プレジデント総合研究所の研修はタスク管理や人材育成、コンプライアンスなど、「ここを押さえてほしい」というエッセンスが2日間に収まっています。新任管理職が全体像を把握するのに、ちょうどよいメニューだと感じました。
――実際に受講した方々の反応や、現場に戻ってからの変化はいかがでしたか。
佐藤 「いい意味できつかった」という声が多かったですね(笑)。当社は親会社のバックヤード業務が中心のため、社外の方と仕事をする経験が少ない社員が多くいます。 そんな彼・彼女らが、自分の管理職としてのスキルレベルを知り、刺激を受けられるようにと他社の受講生と一緒に学ぶ「他流試合」の研修を探していました。
結果として、皆非常に大きな刺激を受けて帰ってきています。自分より若い方がスムーズにファシリテーションを回している姿を見たり、休憩時間になった瞬間にパソコンを開いてメールチェックをする他社の受講生の姿勢に驚いたりしていました。
大津 社内では管理職任用の際に「今のままで大丈夫だよ」と言われて管理職に任用されることも多いんです。そうすると、目指すべき管理職の姿が、本人の中でつかめないまま昇進するケースも少なくありませんでした。
研修の「他流試合」を通じて、「管理職にはこれくらいのスキルとマインドセットが求められているんだ」という具体的な目標像をつかむことができ、そこを目指して現場で行動するうちに、「ここまでやれれば管理職として一人前なんだ」と実感できる。それが自信につながったのだと思います。
参加した新任管理職たちは、現場に戻って2、3カ月経った頃から、話し方や態度も含めて明らかに変わってきました。「堂々とした管理職になったな」と、こちらが驚くほどです。
―― 弊社の新任管理職研修では90日間の伴走プログラムで実践をサポートしていますが、その効果はいかがでしたか。
佐藤 当社でも、社内研修では行動計画を立て、3カ月後に上司と振り返りを行っています。ですから、実は御社の伴走プログラムは私たちの考え方とも合致していました。
印象的だったのは、受講前後で受ける市場価値診断テストです。13のビジネス能力を数値化してくれるのですが、当社の受講者たちのスコアは一般的な管理職の平均より低く、少し衝撃的な数値でした。
しかし、2日間の研修を受け、その後30日毎に振り返りをしたことで、プログラムを終えた90日後には、平均レベルを超えるところまで伸びていたんです。足りない能力を知り、そこを現場で強化することで弱点を補えたのではないかと思います。
大津 大手企業のように「試験に受かった人を管理職にする」のではなく、当社は「資質がある人を登用し、育てていく」という方針です。ポテンシャルで選抜した人材が、研修を通じて管理職としての資質が十分に備わっていることが可視化されたとも捉えています。選抜した人事としても、自分たちの評価が間違っていなかったと思えましたし、能力を数値で実感できるのはとてもよかったなと感じています。
―― 今後、人材育成全体をどのように発展させていきたいとお考えですか。
大津 新任管理職特訓キャンプは、あくまで管理職としての土台を作る研修です。次のステップとして、より高い視座から経営やマネジメントを実践する研修にも取り組もうとしています。その一環として、新任研修を受けたプロパーのマネジャーを対象に、当社の社長が直接指導する「リーダーシップ勉強会」を始めようとしているところです。
研修で学んだマネジメントの基礎を自社の事業へ落とし込めるよう、社長自らが1時間半×10回にわたり、より実践的なMBO(目標管理)の運用や自社流の面談・キャリア開発の進め方を教えます。社長自身、人材育成への思いが非常に強く、「本気で育てる」とえています。
資格取得のサポートも手厚く行っています。現在230種類ほどの資格を推奨しており、受験料や報奨金を支給しています。会社としては社員に常々、「応用しうる能力を高めて、どこでも通用する人材(エンプロイアビリティ)になれ」と言っています。他社から引き抜かれるような人材になっても構わない。本人の人生を考えて能力を高めよう、というスタンスで育成を強化していく計画です。
―― 御社は女性や派遣スタッフの方も多い職場だと伺いました。今後、どのようなキャリアパスを描いていきたいですか。
佐藤 プロパー管理職の半分以上が女性です。弊社はバックヤード業務という特性上、「言われたことをやっていればいい」「いまのままでいい」という意識を持つ社員も一部にいます。そこをどう打破していくかが、今後の課題です。若手のうちからリーダーシップを身につけ、自身のキャリアを追求していくための研修を、今後取り入れていきたいと考えています。
―― 佐藤さんご自身が、まさにそのロールモデルですよね。
大津 そうなんです。佐藤はもともと派遣社員として当社で働き始め、その後社員として登用されました。数年前、社内公募で人事部を希望して異動してきました。そこから担当課長へとステップアップしました。
10年経たないうちに管理職になった彼女の働き方は、社員にとって大きな刺激になっているのではないでしょうか。一般社員から管理職へ、そしてゆくゆくは部長や役員へ。誰もがそうやってステップアップできる環境を、これからも会社として整えていきたいと考えています。
――非常に力強いエピソードですね。本日は、御社独自のカルチャーや人材育成への熱い思いなど、素晴らしいお話をありがとうございました。
自社採用(プロパー)の管理職登用が急増する一方、体系的なマネジャー教育の仕組みがなかった。
※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。
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