海外ファッションブランド協会理事
宮地純様
聞き手 プレジデント ウーマン編集長・木下明子
外資系のファッションブランドとその関係者が集まる、海外ファッションブランド協会(OFBA)で、2024年10月28日、初のダイバーシティをテーマとしたキックオフイベントが開催されました。各ブランドの女性社長が集うパネルディスカッションのファシリテーターとゲスト講師としてプレジデントウーマン編集長木下明子が登壇しました。イベントの反応と、女性が多く働く業界におけるダイバーシティについてインタビューしました。
課題
若い女性にとって業界が魅力的に見えているかが疑問
目的
次世代の女性たちをインスパイアし、育成したい
――そもそも、今回のイベントはどういった経緯で開催されたのでしょうか?私にお声がけいただいたきっかけを含めて教えてください。
海外ファッションブランド協会(以下、OFBA)は、今期よりリシュモン ジャパンの三木が会長に就任し、それに伴い理事の変更が行われ、私も理事に就任いたしました。サステナビリティやダイバーシティをテーマとした委員会も誕生し、理事として各社が取り組むだけでなく、OFBAで何かできるんじゃないかと考えていました。
特にダイバーシティというのは今、どの業界でも推進していくテーマですし、私自身にとっても大変興味深いトピックだったので、今回、パネルディスカッションにご参加いただいたラグジュアリーブランドの女性社長3名にもお声がけして、一緒に何かやろうというお話をさせていただいたのがスタートです。
キックオフとしてどういうことをやろうかという話をしている中で、ファッション業界の次世代の育成というのがものすごく大切だよねという話になりました。せっかくやるのなら女性たちをインスパイアできるようなコミュニティづくりや、トークセッションを展開していきたいという流れになり、ダイバーシティというトピックで知見のある方で、パネルディスカッションのファシリテートもお願いできる方をゲストとしてお呼びしたいということになりました。そこで、登壇者の一人、ボッテガ・ヴェネタジャパン 代表取締役の野原 エリアナ 典子さんのご紹介で、木下さんにお声がけさせていただきました。
――記念すべきキックオフの会に呼んでいただき、ありがとうございます。最初は、ファシリテーターでお声がけいただいたのですが、打ち合わせ時にプレジデント ウーマン編集部の女性活躍に関するデータをお見せしたら、結果、講演もご依頼いただくことになりましたね。
そうですね、やはりあのデータのインパクトはすごかったです。女性たちは昇進前には不安だけれど、昇進後の幸福度は男性よりも高いし、子供のいる女性の方がさらに幸福度が高いといった内容は本当に衝撃でした。イベント後、私もさまざまな機会であのデータについてお話ししています。まずはこのような事実を知っておくことが、ダイバーシティを進める第一歩だと思います。
――編集部のデータを広めていただいてありがとうございます。実際講演を聞いた参加者の方からの反応はいかがでしたか?
すごく勉強になったという声が多く、事後アンケートでも、木下さんの講演の中で、「女性の育児よりキャリアを応援すべき」という言葉にはっとさせられた、「育休が長い女性ほど昇進意欲が低下する」というデータが学びになったという声が上がっています。また、「インポスター症候群に女性は陥りがちだという説明があったが、その後の各社の女性社長によるパネルディスカッションで、実際そんな気持ちを抱えながらプレジデント職についている女性がいるとわかったので、リーダー層の話を聞いたり、周りに相談できる環境が大切だとわかった」という意見がありました。ジュニアマネジャーの女性に対するスキルアップのヒントをもらえたというマネジャーもいて、早速実践しているそうです。
「自社の経営陣が男性ばかりでそういうものだと思い込んでいたが、他社にはこんなパワフルな女性リーダーがいるとわかって考えさせられた」「もっと多くのロールモデルが先頭にたつべきだと思った」といった意見もありました。
イベント開催前は年に1回くらいのペースで定期的に開催すればよいかなと考えていたのですが、多くの方に「次はいつ開催するのですか?」と聞かれました。このような場は女性が多い業界であっても、あるようでなかったんだなと実感しました。参加者のメーリングリストをつくって、コミュニティを継続していこうという話も出ています。
――それはよかったです。今後の業界としての課題などがあれば教えてください。
私たちが対象としている商品は、化粧品であれファッションであれ、多くが女性を対象としたものであり、女性スタッフの割合は比較的大きいです。ただ、女性がブランドのトップに就いたのもここ数年の話で、いかに継続的に女性の管理職を育てていくかが大きな課題です。そしてそれにより業界全体を活性化させ、進化させていかねばなりません。今の若い世代にとって魅力的な業界になり、優秀な女性にどんどん入っていただきたい。私は、どちらかというと男性が多い金融、不動産業界のキャリアを経て現在に至りますが、実際働いてみるとすごく楽しくて女性が活躍できる業界だと思います。
また、私たちのビジネスパートナーでもある百貨店や不動産業界とも連携してダイバーシティを進めていけたらと考えています。
効果
データの内容とロールモデル層に鼓舞されたという女性が多かった
マネジメントの参考にしたという意見が上がった
※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。
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