オムロン株式会社 産休、育休明け女性社員のキャリア支援における、あるべき姿とは

  • オムロン株式会社
    インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー
  •  人事総務・リスクマネジメント室 グローバル人事部長
    沢村麻衣子様
  •  聞き手:木下明子(プレジデント ウーマン編集長)

女性社員ならではのライフイベントに応じたキャリア形成や働き方を理解し、マネージャーとして個々の能力開発、キャリア開発の伴走方法を学び、考えることで組織力(インクルージョン)の更なる向上を目指す、インクルーシブリーダー養成研修を実施した理由を伺いました。

  • 管理職の大半が男性である中、育児との両立を図る女性社員に対するキャリア支援についての理解、実践を強化
  • 組織管理職がライフイベントの発生する女性部下のキャリア形成・能力開発に対して効果的な支援ができる

「女性に優しい制度は真のD&Iではない」に目から鱗

オムロン株式会社
インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー
人事総務・リスクマネジメント室 グローバル人事部長
沢村麻衣子様

――プレジデント総合研究所の「インクルーシブリーダー養成研修」を導入されたきっかけは、人事・ダイバーシティの会だったと伺っていますが、どんなきっかけで入会され、どんな学びがありましたか。

 雑誌時代の『プレジデント ウーマン プレミア』に掲載されていた「人事・ダイバーシティの会」の入会案内を見て、他社の女性活躍推進事例などを学びたいと思い、前職時代に個人として入会していました。

 2022年12月に開催された同会のウェビナー「育休&時短~ライフイベント後の働き方とキャリア」勉強会に参加し、木下編集長の実態データに基づいた動向と他社事例をお聞きしました。「長期にわたる時短や育休など、女性がキャリアの第一線から離れ続けるいわゆる女性に優しい制度を十二分に整え、ライフイベント後の女性をそちらに誘導してきた過去のダイバーシティから、現在のダイバーシティのトレンドは産育休を取得する女性がマミートラックに陥らないようキャリア成長をより支援することが重要になってきている」という内容をお聞きました。特に、同じ製造業である他社様において、意欲のある方には育休から早期復帰できるような補助制度を導入し、法定以上の育休や時短制度はあえて設けず、「会社は出産・育児を乗り越えるための施策を通して、キャリアブランクを最小にしながら仕事に打ち込み、 会社に貢献し成長を求め続ける人を最大限支援する」と社内外に向けて明言され女性活躍を進めていらっしゃる点が非常に印象に残っています。
 多くの日系企業において、女性、男性に関わらず育児休暇取得率を高める環境・風土の整備を一層進める一方で、とりわけ女性についてはマミートラックに陥らないよう本人のキャリアと成長を重視した早期職場復帰を支援する制度・仕組みの導入を実施している企業は少ないのではと感じました。その点で自身の中では新たな気づきにつながりました。

――上司向けのアンコンシャス・バイアス研修は他にもたくさんあると思うのですが、今回は特に女性部下を持つ管理職対象として育児との両立を担う社員へのキャリア支援について期待されていたということですね。

 そうです。今後、生産年齢人口が減少していく日本において、ライフイベントを迎える女性のキャリア中断が長くなりすぎない方が、本人はもとより会社、ひいては社会にとってより良い方向につながっていくのではと考えるようになりました。また周囲で支えるメンバーの負荷やケアの観点からも、早期復帰の意欲がある方の場合は、上司として「育児中だから育児や家庭中心でいいよ」という発想ではなく、早期復帰に向けて何ができるのかという観点で対話と支援を考えることもますます重要になってくるのではと思います。とはいえ、様々な家庭の事情、お子様の状態、そして個々の価値観や人生観もあるので、一律にというよりは個別に社員と会社が共に成長しあえるような選択肢を選んでいける姿が理想です。

――実際、研修の募集をしてみていかがでしたか?

 今回は、女性部下を持つ管理職を対象とした「インクルーシブリーダー養成研修」として、希望者に実施するという形をとったのですが、想定していた以上の挙手率でした。当初は京都本社にてトライアル的に1回実施し、30名くらいの手挙げ参加者を想定していましたが、工場のある草津(滋賀県)での開催要望が多く、最終的には京都と草津で、2日間にわたり実施しました。他の拠点においても開催希望があったため、今後検討していきます。遠方や多忙な方からオンラインでの開催要望も出ていましたが、今回は、京都本社はリアル(対面)で、草津事業所はハイブリッドという形で進めました。

今後のマネジメントに活かせる実践的な内容

――プレジデント総合研究所としては、大規模なオンラインでの実施も可能だったのですが、あえて今回リアル研修にこだわられた理由は。

 やはり今回のようにアンコンシャス・バイアスという観点を基軸とした研修においては、発言の中に、参加者一人一人の人生観や家族観、価値観などが色濃く反映されてくるものだと思います。その方個人の哲学のようなところに踏み込む可能性がある中で、オンラインでなんとなく「今、発言していいのかな」と躊躇されたり、画面の前でタイミングや空気感を読みながらお話しいただくよりは、対面だからこその話しやすい雰囲気で、一人一人の本音を引き出したかったというのがあります。

――実際、受講された方々の反応はいかがでしたか?

 管理職は、社内で育児と両立している女性社員が増えているのは実感していると思うのですが、特に男性上司は、まだ奥さまに育児の大部分を担ってもらっている方が多いです。今回の研修の中で、男性上司役と両立中の女性部下役に分かれてのロールプレイを通して、育児と仕事の両立がここまで大変で、子供の急病など不測の事態にも備えて複雑な状況下で常に色々考えなければいけないのだということをリアルに実感できたという感想が多かったです。自分は仕事ばっかりやってきたけれど、「今思うと、奥さんは育児が相当大変だったのだろうなと反省しました」などと言う方もいらっしゃいました。

 約85%の参加者が、本研修に参加しての満足度及び実際のマネジメントへの活用度において「満足」と回答いただいています。また、約80%以上の参加者が本研修を他の経営基幹職にも薦めたいと回答いただきました。本プログラムを通じて、女性社員が直面する出産、子育てについて改めて学び、今後のキャリア支援・伴走の重要性について多面的に理解していただくことができたのではと思います。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

「ダイバーシティ研修」についてはこちらから
https://pri.president.co.jp/diversity

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