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自社のダイバーシティはどこまで進んでいる?3つのフェーズとそれぞれの処方箋

目次[非表示]

  1. 1.自社の立ち位置を知る「ダイバーシティ3つのフェーズ」
  2. 2.なぜ「フェーズ2」で止まってしまうと危険なのか
  3. 3.フェーズ1から一気に「フェーズ3」へ飛躍する戦略

 真の女性活躍を阻んでいるのは、実は「女性に優しいだけの制度」かもしれません。白河桃子氏が提唱する「ダイバーシティ3つのフェーズ」をもとに、自社の現在地を診断。単なる両立支援(フェーズ2)の罠を脱し、男女共に柔軟に働く「フェーズ3」へと飛躍するための、働き方改革と経営戦略のポイントを解説します。

※本稿は、木下明子『図解!ダイバーシティの教科書』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

自社の立ち位置を知る「ダイバーシティ3つのフェーズ」

 今の日本におけるダイバーシティ経営と問題点は理解したが、自社でどこから手を付けたらいいか、どこが悪いのかわからないという企業であれば、まずはご自身の会社の立ち位置を確認してみてください。プレジデント総合研究所顧問で、相模女子大学大学院特任教授の白河桃子氏によると、以下のように現在位置を確認してほしいということです。

出典/白河桃子氏作成

 フェーズ1は、基本的に昭和のままの企業。第一次男女雇用機会均等法に則り、かつてのマスコミ業界もそうでしたが、男性と同じように24時間体制で会社に滅私奉公するのであれば女性も昇進できます。家庭との両立はかなり難しく、子持ちの女性は退職するか、産休だけで復帰し、親と同居するなどして育児家事は丸投げか、ほとんどすべてを外注という方だけが残ります。かつての木下実家も、おおむねこんな感じでした(とはいえ母は公務員だったので、普通の企業よりは両立しやすかったとは思いますが)。

なぜ「フェーズ2」で止まってしまうと危険なのか

 フェーズ2は、法定以上の両立支援制度をたくさん充実させた、いわゆる「女性に優しい企業」です。女性は育休や時短を取得して復帰して働けますが、男性と同等に昇進していけるのは、どちらかというとフェーズ1の働き方に近いキャリア志向の強い女性のみ。多くはマミートラックに入り、ゆるく長く働くのがスタンダードです。両立支援は、ほぼ女性のみに対して行われ、男性の働き方はあまり変化がない状態です。前述のように、制度を使っている人と、使っていない人の中に不公平感や軋轢が生まれがちなのも、このフェーズのときです。

 本当にダイバーシティ企業といえるようになるのは、フェーズ3からです。ここにきて初めて、男女両方が両立支援や改革の恩恵や影響を受けます。まず働き方改革がきちんと機能し、無駄な残業がない。そしてテレワークやフレックスタイムなどの柔軟な働き方も導入され、時間から時間当たりの成果で仕事が評価される。

 そして、可能な人には、育休や時短から早期のフルタイム復帰が促され、そのための制度や補助が整備されて、周知されている。そして、男性の両立支援が始まり、男性育休も推進されていきます。

フェーズ1から一気に「フェーズ3」へ飛躍する戦略

 白河氏は「今、フェーズ1にいる企業は、2に時間をかけず、いきなり3へ向かったほうがよい」と言います。本来は、法定以上の女性に優しすぎる制度や支援を整えるより、先に働き方改革を導入し、昭和上司の働き方を改める。そして誰もが働きやすい環境をつくってから、必要な制度を整えるべきなのです。いったんフェーズ2にきてしまうと、3にいくまでに結構な労力を要します。一度長くした育休や時短制度を短くすることは、法的に不利益変更になってしまうので、よほどのことがないとできませんし、フェーズ2は、あくまで家庭中心で長くゆるく働きたい女性や、昇進のパイを女性に取られたくない男性など一部の人にとっては居心地がいい状態なのです。

 とはいえ、現在フェーズ2にいる企業は、日本にはとても多いです。そういった企業が制度を変えるのは難しいので、ライフイベントからの早期復帰のメリットを伝え、柔軟な働き方を導入し、男性の両立支援を進め、男女ともに優秀な人ならライフイベントと両立しながら、上に行ける仕組みをつくりましょう。ここで初めて、女性の上級管理職比率も増えてくるはずです。

(以上、プレジデント総合研究所『人事・ダイバーシティの会』2022年9月キックオフイベントにおける白河桃子氏講演より抜粋・編集)

プレジデント総合研究所 佐藤
プレジデント総合研究所 佐藤